昭和50年代後半。それまでは和牛主体の生産体制をとっていましたが、正しい血統を持つ黒毛和種とホルスタインの交配による交雑種に着眼しました。適度に高級感があり満足度も高く、一方であっさりとした風味の脂肪…など、銘柄牛等と一線を画す交雑種の味わいは、これから新しいポジションを確立するのではないかという予見もあり、導入を決めました。同時に、畜産専業農家の減少が顕著になってきたことから個人経営を見直し法人化を計画。社名を考えるにあたっては、歴史に詳しい知人が『この地域の象徴的な風景である北上川は古名を日高見川という。日高見とは別称:日の本。古代東北文明圏によれば、かの地にはもうひとつの日本の中央が存在していたらしく、その名を日高見国という。この辺一帯も古代は日高見国の一部であった』との情報を提供してくれたことから<有限会社日高見畜産>と決めました。昭和62年(1987)のことです。
その後、グルメブームから仙台牛や米沢牛、前沢牛、松阪牛といった銘柄牛はマスコミ等に常に取り沙汰されるようになります。ネームバリューが売れ行きを左右するという時代、ブランドの重要さを大いに感じていた平成12年(2000年)、BSE問題が世界中を駆けめぐりました。牛肉市場は痛手を負い、打撃を受けたことはまだまだ記憶に残る事件です。
現状を打破したい…という強い思いから、市場が消沈している今こそブランドを確立し、国産牛の良さを大いにアピールしよう!
と、日高見畜産で肥育した肉用牛には、万感の思いを込めて<日高見>という名を冠し、市場に送り出しました。かくしてこの〝宮城 日高見牛〟(のちに〝みちのく 日高見牛〟に改名)は、新しいブランド牛としてスタートを切りました。以降、数々の共進会等で入賞を果たし、常に3等級以上の発生率が7割以上という実績を、ブランド化によって認知していただくことができ、大変嬉しく思っております。
そして、スピード感や多様性といった時代の流れに対応するべく、当社も組織変更し、株式会社日高見牧場となりました。
さて世界的に注目されている和牛ですが、これからは「霜降り」という絶対条件的な価値に加え、機能性にも優れたものこそが主流になっていく…当牧場ではそう考え、牛肉の一価不飽和脂肪酸が持つ有用性に着目しました。それらが有効に発現できる可能性の高い肉牛として、平成26年、〝黒毛和牛 <日高見>〟を輩出しました。この「新しい価値をもった肉牛」は当牧場のトップブランドとして、より一層の飛躍を確信しているところです。
肉牛一筋に40有余年…。これからも、みなさまの幸せな食卓のために『サラダのように、毎日食べたい健康的なお肉』〝みちのく 日高見牛〟を、そして『霜降りで、サラリとした味わい』の〝黒毛和牛「日高見」〟を、私たちはお届けしてまいります。